おばあちゃんの魚売り

                             

作詞/山田博士

                             

 一.  私ゃね 80をほんのちょっと 越えましたけどね

     この島で毎日ね 魚を売り歩いてるの

     たくさんはね売れないんです たくさんはね

     でもいいの それでもいいの

        私の大好きな おじいちゃんがね

        毎日一人で 沖に舟を出し

        私が売るだけの魚を 釣って来てくれるんです

        ありがたいこと ありがたいこと

     「え〜お魚はいらんかねえ おじいちゃんの汗にまみれた魚はいらんかねえ〜」

 

 二.  私ゃね 戦争でほんのちょっと 泣きましたけどね

     負けないでこうしてね 笑顔を売り歩いてるの

     たまにはね涙も出るの たまにはね

     でもいいの それでもいいの

        私の大好きな おじいちゃんがね

        いままで注いで くれた優しさを

        私のふところで暖め 島中を歩くんです

        ありがたいこと ありがたいこと

     「え〜お魚はいらんかねえ 恵比寿さまの顔をしている魚はいらんかねえ〜」

 

        私の大好きな おじいちゃんがね

        お米が一粒 なくて泣いた日に

        私の手のひらに一言 好きだよと書いたんです

        ありがたいこと ありがたいこと

     「え〜お魚はいらんかねえ おじいちゃんの愛にまみれた魚はいらんかねえ〜」

 

 

ひとこと

沖縄の糸満港で会ったというおばあさんの話。作家の永六輔さんが話していたものです。いいじゃないですか。この幸せ。おばあさん一人が売れるだけの魚を、おじいさんが毎朝釣って来る。そこには、余分なものは浪費しないという思想があるような気がします。魚にも幸せを与えるという思想。日本の役人や企業人にこの発想があるかどうか。おばあさん、いつまでも長生きしてね。