まぶしい双子の天使

作詞/山田博士

                             

      一.  背中をさすって 見てごらん

          ほーら羽の あとがある

          どの子もみーんな 世の中に

          天使になって 降りてくる

             ベトちゃんと ドクちゃんの

             弾(はじ)ける 笑顔が

             アルバムいっぱいに 溢(あふ)れるはずだった……

          けれどママは二人をみつめ よろけるように

          白い扉のノブをまわして 手ぶらで去った

 

      二.  いっしょにはしゃいだ ベトちゃんが

          突然静かに なっちゃった

          ちっちゃな手のひら すりあわせ

          ドクちゃん毎日 祈ったよ

             お願いだ お月さま

             ベトちゃん 助けて

             ぼくたち悪いこと なんにもしていない……

          きみはベトちゃんきみはドクちゃん 二人はいつも

          切っても切れない仲なんだ 言葉どおりに

 

          ありがとうありがとう からだを差し出し

          いのちのまぶしさ教えてくれた 双子の天使

                         双子の天使

 

 

ひとこと

ベトナム戦争が終わった年、1975年。それから5年後に、ベトちゃんとドクちゃんが生まれました。体は1つですが、頭は2つついています。足は2本だけです。10年間にわたって、アメリカ軍がまき続けた枯れ葉剤。猛毒の塩化ダイオキシンがベトナム人の体に吸収されました。いま、その枯れ葉剤を作ったアメリカの会社が、日本人の食卓をねらっています。