っ呆っ呆っの母」

  

                             

     作詞/山田博士

                             

         一  あなたはどなたで いらっしゃいますかと

            私をながめる 母でした

            よそゆき言葉が 私に刺さり

            涙がひとひら こぼれます

         ┌─     許して下さい 私は母を

         │      世間にそむいて 捨てました

       ※ │      時間をさまよい 自分を忘れ

         │      どうすることも できなくて

         │      半年はんとしぶりに 母を訪ねりゃ

         └─ お茶などすすめて くれるのです

 

         二  なつかしくなるの あなたといればと

            私に微笑む 母でした

            けれどもおしゃべり どこまでしても

            思い出話が 見えません

                戻って下さい 私の母に

                なんでも話せた あの母に

                その指その声 そのしぐさまで

                昔のままが せつなくて

            あの日のように そっと優しく

            叱って下さい お願いです

 

(子守歌のメロディの上に、セリフを乗せる)

「お母ちゃんはな、あんただけが宝や。あんたがどんなに悪いことをしてもかまへん。あんただけが宝や。たとえあんたがお嫁に行くようになっても、いつまでも母と娘でいような。お母ちゃんも、体にはうんと気いつけるさかいしな。ええな、いつまでも母と娘でいような、な」

                    ※ 繰り返し

 

 

ひとこと

 

21世紀に入って15年経つと、65歳以上の人たちが国民の四分の一にもなります。いまの日本の社会では、心と体が“人間じゃなくなったまま”、長生きさせられる(!)ことになるでしょう。苦痛以外のなにものでもありません。この歌のように、娘や息子の顔も忘れ、ただ「ほ(呆)っ、ほ(呆)っ、ほ(呆)っ」と笑う母や父の出現にどう対処したらいいか、真剣に考えるときです。