越前えちぜん海岸涙色

                             

   作詞/山田博士

                             

           一  いのち絞った 漁師の汗が

              積もった池だよ 日本海

              あんたは舟に 寄り添って

              いつも 沖みてた

              なのにとつぜん 海の

              海の 色が 違ってた

              近づく オイルの 帯よ

              越前海岸 涙色

          

           二  白いつばさに オイルがしみて

              浜辺にころがる ウミスズメ

              あんたはひしゃく 振り回し

              凍る 海の中

              なのにとつぜん 声も

              声も あげず 倒れたと

              戻って おくれよ あんた

              越前海岸 涙色

            

           三  サザエアワビや 岩のりワカメ

              漁師にゃ宝の 日本海

              あんたの遺志を 受け継いで

              私 海女あまになる

              海に潜れば あんた

              あんた いつも 会えますか

              夕日の 色まで 痛い

              越前海岸 涙色

 

ひとこと

1997年は、不気味なすべり出しでした。1月2日の未明、島根県の隠岐島近くの日本海で、ロシアのタンカー「ナホトカ」(1万3157t)が沈没。流れ出た重油の帯で、日本海沿岸の1250kmの海岸線が黒く染まってしまったのです。鳥も魚も砂も貝も海草も、そして人までも倒れていきました。この「越前海岸涙色」は、実際に亡くなったある漁師への鎮魂歌でもあります。