手軽さ偏重の食生活に警鐘
食生活を研究している小浜市出身の山田博士(ひろし)さん(56)=東京都港区在住=がこのほど、“便利な食べ物”に潜む添加物などの危険性を取り上げた『脱コンビニ食!』を出版した。食を通して心豊かな生活を手に入れるための具体例が満載で「この本が食の在り方やシンプルな暮らしを考えるきっかけになれば」と話している。
− 小浜出身の山田さんが続編 −
『脱コンビニ食!』出版
山田さんは若狭高校を卒業後、大学進学のために上京。人体に悪影響を及ぼす可能性がある食品添加物などに疑問を持ち、自ら雑誌を発行するなど約三十年前から食の安全に警鐘を鳴らしてきた。現在は「山田博士いのち研究所」を主宰。著作や講演を通して食品汚染や環境汚染の現状を伝えている。
『脱−』はベストセラーになった『あぶないコンビニ食』『続あぶないコンビニ食』に続く第三弾。最新情報を盛り込み、より分かりやすい言葉でまとめた。
この中で、スーパーや外食店に並ぶ出来合いの便利な食べ物全般を「コンビニ食」と定義。着色料のタール色素や保存料の安息香酸などの危険性を詳しく説明した上で、それらの物質を含む商品名を公開。現代人の心と体をむしばむ危険物質に迫っている。さらに、コンビニ食依存から脱するための生活習慣を紹介。「簡単にできて体に合ったものを食べることこそ、健康長者の秘けつ」と、自ら料理することの意義や面白さを力説している。
山田さんの実家が残る小浜市はちょうど、全国でも例のない食のまちづくりを推進中。山田さんは「地産地消のいい動き」と評価した上で「昔のように作って食べるだけの単純な図式ではうまくいかなくなっている」と環境問題などを指摘。「海を守るようなところまで含めた食文化全般の活動を広げてほしい」と故郷にエールを送っている。同書は平凡社新書、二百三十ページ、七百円。
るーと27
◆…某大手ファストフード店の進出を機に欧州で始まったスローフード運動。最近、日本でも注目され始めている。一言でいえば「伝統のお袋の味」を守ろうというものだが、家庭で食卓を囲む親子のコミュニケーション、新鮮な地場食材を食べる健康、地産地消による地元農家の活性化など奥深い要素も含まれている。
◆…『脱コンビニ食!』は、まさにスローフードの重要性を説いた一冊。便利な食に潜む危険性のほか、子供の荒れと食の関係など興味深い実例を紹介。終章には「健康長者」になるための七つの簡単な生活習慣が書かれているが、便利が当たり前の高度成長期以降の世代にとってハードルは高そうだ。(司)
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