法務省編集「更生保護」

−2004年12月号−


 

 

キレる若者と切っても切れない食生活

山田博士いのち研究所主宰 山田 博士 ひろし

 1.男子七歳にして厨房(ちゅうぼう)に入らず、の本当の意味 

 「いやあ、山田さん、こんなにも毎日の食べものが行動を変えているなんて、私、驚きでした。本当に、死ぬまでこの講座を続けたい……」。

 私の開講している「いのち運転教習所」の教習生から、こんなとんでもないお便りがよく届きます。この教習所は車の運転じゃなく、「いのちを運転する」ための講座。通信制のため、全国の教師、保健師、栄養士、薬剤師、母親、管理職、大学生たちが楽しく真剣に学んでいます。

 動物の舌に戻す法、人間の心に戻す法、食べ合わせで発ガン物質が生成されるのを防ぐ法、外食店をGメンする法、長寿への簡単な料理法、そしていじめや非行を起こさせない法など、もう目からウロコの話ばかり。

 毎日の食べものが心や行動を変えるなんて、今までだれが本気で思ってきたことでしょう。たかが食べもの。そう、たかが食べものです。 しかし世の中が、どれだけネット社会だ、IT社会だなんて騒いでみても、まさか今日からフロッピーやCDをかじって生きてゆくわけにはいきますまい。まあ、今は、毎日パソコンに“かじりついている”御仁(ごじん)も中にはいるようですけど。

 特に私は男性に言いたい。男子七歳にして厨房に入らず、の意味を誤解していらっしゃる。この言葉の真意は、その昔、女性の地位が低かったころ、亭主や姑(しゅうとめ)にいじめられた女性は、厨房だけが泣くための唯一の場所だったんです。だから男子は七歳になれば、そこには入ってはいけない。そう諭(さと)されていたのです。

 それを男たちはなぜか曲解して、男は料理をするべきでないと解釈してしまいました。私は、自分で料理しない人の言葉は信じません。「自分のいのちを救う」ことさえできない人が、他者のいのちを救えますか。

 2.言葉や心で向き合うだけでは解決しない

皆さんの頭上から、冷たい水をほんの一滴(ひとしずく)だけ、かけさせてください。非行をした少年や罪を犯した人たちを前に、皆さんがいくら相手を思い、「もっと素直になりなさい、もっと落ち着きなさい、もっと人と向き合いなさい」なんて叫んでも、それは無理です。

 確かに時間を掛けて何度も彼らにぶつかってゆけば、涙の一粒もこぼすでしょう。でもそれはその場だけ。環境が変化すれば元の木阿弥です。彼らも本当はつらい。悩んでいるのです。でも体が、自然にゆがんだ行動をしてしまう。なぜなんでしょう。

  刑法犯で逮捕された少年の数が14万人を越えた1997年、警視庁は今までの少年一課を少年育成課に名称変更しました。でもどう「育成」したらいのか。野菜でもいい肥料を与えなければ「育成」しません。名称変更だけでは、まだまだ道は遠い気がします。

 そのことは、公立の小中高全体の校内暴力が3年ぶりに増加に転じ、なんと3万1,200件となったことからも分かる気がします(文科省調べ。2003年度)。小学生同士の死傷事件も跡を絶ちません。しかも児童虐待事件が年間2万7,000件も起こるという異常事態。

 そう、母親たちでさえ我が子をあやめてしまう。NHKが調査したところによれば、母親が我が子の虐待を訴えるネットが、全国に13万サイトもあることが分かりました。何が若い彼らを突き動かしているのでしょうか。

 3.少年院が満員だった当時の米国は、こう動いた

 1つのヒントがあります。1975年当時のアメリカ。このころ、国中が大騒ぎでした。子どもたちが突然「過剰行動」を取り、大人の手に負えなくなっていたのです。

 全国の少年院は満員御礼状態でした。まさに今の日本と同じ様相じゃありませんか。アメリカの行く末を案じた大人たちは、上院を中心に専門の調査チームを組みました。そして全国調査をしてこのH−LD病といわれた原因を究明したのです。 その衝撃的な結果とは……。

 紙幅の関係で結論だけ述べます。彼らが毎日食べている幾つかの化学物質が、子どもたちの行動を粗野にし、乱暴にし、学ぶことさえもおろそかにさせていたことが分かったのです。毎日食べているものが原因でした。

 その1つに食べものを染めている着色物質があります。アゾ系と言われるある種のもの(例えばタール系色素黄色[おうしょく]4号など)は、体内に入ると有害なメチルニトロソ尿素を生成し、それが難なく頭の中の前頭葉に入り込むことが明らかになりました。

 前頭葉はヒトをヒトたらしめるところ。ここが犯されてしまうと、ヒトでなくなってしまうんですね。子どもたちが暴れる原因がやっと氷解しました。当時の子どもたちは、朝食でこの物質を入れて登校していたのです。

 京都大学の末次さんの調査では、この物質が体内に入るとわずか1時間でアレルギー症状を起こすといいます。即効性のある物質なんですね。これでは学校の授業が始まるころに暴れ出すのは当然。ところがこららを含んだ食べものが、なんとこの日本にあふれているのです。

 私はこのほかの問題物質を含めて5つに大きく分類し、最近本にまとめました。若者をキレさせる5つの化学物質として、交番の扉に「重要指名手配食」として貼(は)り出してもらおうと思っています(笑)。商品名ももちろん発表していますので、興味のある方はぜひ内容をのぞいて下さい(『最新 危ないコンビニ食』、現代書館: http://yamadainochi.com/yama-t.html )。

 この本、ほぼ半分のページにイラストが入っていることもあり、若者や教師たちに受けているようですが、つい先日、岩手の中学校の女性教師から「待っていました!」なんてハガキが届きました。中学校現場も大変なんですね。

 そうだ、全国の少年院に収容されている若者諸君にプレゼントしようかなあ。一読してきっと、大きくうなずくだろうなあ。即、更生……するかも、ね。

 4.青年海外協力隊の入隊選考で、「4割が不合格」

 驚かないでください。年を追って、入隊希望者の不合格が増え続けている青年海外協力隊。2002年秋の選考結果を見て、関係者は衝撃を受けました。38%もの若者が健診で不合格だったのです。ここ数年、20%、30%と不合格者が増えているんですね。ついに若者は壊(こわ)れました。血中のヘモグロビンが少なく、アレルギー体質者が増加しているとのことでしたが、原因はやはり毎日の食べものにあることは明らかです。

 食べものと言えば、若者を凶暴にさせるもう一つの原因として低血糖値症があります。つまり糖分の摂(と)りすぎのこと。「へ? 糖分の多い食べものを体に入れると逆に低血糖になる? へ?」なんて首をひねっている方がいらっしゃるかも。人類は何百万年もの間、多量の糖分を食べた経験がないんです。そのため、多量の糖分に驚いた体は、血糖値を下げるホルモンをドドッと分泌(ぶんぴつ)し低血糖状態にさせます。このアドレナリンというホルモンが、その人を攻撃的にさせる原因でもありました。

 特にペットボトルや缶の飲料水は要注意。20〜30gもの蔗(しょ)糖が入っていても、冷たければ甘いと感じません。その点、ご飯などに含まれる糖分は、ゆっくりと血糖値を上げてゆくため、低血糖にはならないんです。

 5.ナイフを捨てよ、包丁を持て!

 ここまで述べてきたことを解決する方法。それは老若男女が包丁を持つことです。自分の育ったこの大地で穫(と)れたものを自分で料理する。そしてみんなで食卓を囲む。これしか非行や犯罪を防ぐ方法はありません。

 特にだれと食卓を囲むかが非常に重要です。夜間保育園の園児3,000人を、5年ほど追跡調査した厚労省の最近の調査では、親と食事をしていなかった子どもは対人技術が70倍(!)も遅れていました。

 包丁を持つと、毎日いのちと向き合います。野菜も魚もすべてがいのち。そして、食べるとき両手を合わせ、「(これからあんたのいのちを)いただきます」と唱えること。こうすれば、食べものにいのちが宿っていることを実感できます。これが人間だけでなく、すべての生きもののいのちにまで思いを馳(は)せる唯一の方法です。

 いのちの宿っているのが見えない加工食品やファストフードは極力避ける。そして素材が見えるものを食べるようにすれば、自分のいのちも見えます。さあ、これからは学歴よりも包丁歴。「若者よ、ナイフを捨てよ、包丁を持て!」。今日も私は空を向いて叫んでいます。

(私の名前で検索すればHPがご覧になれます。先述した本の内容も載せていますので、よかったらどうぞ)

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 感動ポロポロの、通信講座「いのち運転教習所」に入学しませんか。元気になる料理の基本タダでできる安全な水の作りかた動物の舌に戻す法人間の心に戻す法など、「目からウロコ」です。家族で学んで下さい。全10回。最新情報をもとに、山田が個別に添削してお話しする手作り講座です。もうこれで山田のすべてがあなたのもの。教習生の声をお聴き下さい。こんな「通信講座」がいままでありましたか。おそらく日本で初めてだと思います。下の犬を押せば、案内のページに飛びます。